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HD-coilは線材を用いた構造体としては驚異的な耐圧縮力を持ちます。ヒーターとして応用した場合には1000℃を超える温度においても強度は十分すぎるほどでした。
この強度は建物等の構造材としても使えるほどであり、荷重を支える柱としての用途が考えられます。ビル火災で鉄骨の強度が下がり崩壊するという現象がありますが、HD-coilを垂直荷重用の主要構造材(柱)として採用すれば、この様な事態を防止する事ができます。過大負荷に対しても急激な降伏現象が起こりにくい構造です。
しかもこの柱は造形的にユニークであり、美観的にもそのまま露出させて使えます。そして空気の通過性が良好なので排煙装置の空気取り入れ口やエアコンの空気出入り口としての機能を合わせ持たせる事が出来ます。
またHD-coilを建築物の基礎に使えば、横方向の柔軟性を利用した免震基礎として使用できます。HD-coilは大きな垂直荷重が加わる事により曲げ強度が増します。無荷重では全く曲げ強度がありません。これは短所にもなり、長所にもなるHD-coil特有の特徴です。
このHD-coilを流動体(高粘度オイル又は砂や砂利のようなもの、又はそれらの混合物)の中に配置すれば、免震材に振動減衰用ダンパーとしての機能を合わせ持たせる事も可能です。これらはコイルの動きにより振動エネルギーを熱エネルギーに変えることにより振動を減衰させます。また振動で砂粒等がコイルの隙間に入り込むと、それが押し潰されるときに大きな振動エネルギー吸収があります。
許容振幅(横揺れ)は全振幅でHD-coilの外径程度が限界となります。もしコイル外径の2倍よりも大きな全振幅の振動が加わると瞬時にコイルが倒れてしまう危険があります。予想される全振幅と同程度のコイル外径が確保できない場合には加わる振幅を制限する構造が必要になります。そのためにもHD-coilはその外径の2倍程度の縦穴に入れ、その中に前記流動体を詰めておくのが良いかと思います。これによりコイルの倒れ防止効果と振動エネルギー吸収効果に加え、縦振動に対しても緩和効果が期待できます。
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