データ集へ                

   

   各種物質の放射率(吸収率)

 
   次に示すのは、さまざまな金属についての、だいたいの放射率です。(吸収率は放射率と同じ数値)

   金属は一般的にハロゲンランプでの加熱に適しています。ハロゲンランプの放射波長域は1μm付近なので、
   この表で1μmでの放射率(吸収率に等しい)を調べ、0.3以上ならば良好な加熱ができます。

   しかしこれが 0.1以下となると、かなり加熱が困難になります。そのような場合には実質的に吸収率を上げる
   工夫も必要になります。 たとえば酸化させる,着色する,粗面にする,とか 空洞加熱法 の採用など 


 放射率表 - 金属 -



     物質名
    波長に対する放射率 (=吸収率)
 約1
  μm
 約1.6
  μm 
 約2.4
  μm
 3〜5
  μm
8〜14
  μm
   備考
アルミ 非酸化面 0.13 0.09 0.08 0.05 0.025
アルミ 酸化面 0.40 0.40 0.40 0.30 0.35
アルミ合金A3003 粗面 0.2-0.8 0.2-0.6 0.1-0.3
アルミ合金A3003 研磨面 0.1-0.2 0.02-0.1
アルミ合金A3003 酸化面 0.4 0.3
真鍮 非酸化 0.2 0.18 0.1 0.03 ??
真鍮 酸化面 0.7 0.7 0.7 0.61 0.6
クロム 非酸化面 0.43 0.34 0.15 0.07
クロム 酸化面 0.75 0.80 0.85
コバルト 非酸化面 0.32 0.28 0.18 0.04
コバルト 酸化面 0.70 0.65 0.35
銅 非酸化面 0.06 0.05 0.04 0.04 0.03
銅 粗面 0.05-0.2
銅 酸化面 0.85 0.85 0.85 0.85 0.80
0.05 0.02 0.02 0.02 0.02
インコネル 非酸化面 0.3 0.3 0.3 0.28 0.10
インコネル 酸化面 0.85 0.85 0.85 0.85 0.85
インコネル サンドブラスト 0.3-0.4 0.3-0.6 0.3-0.6
インコネル 研磨面 0.2-0.5 0.25 0.15
モネル 非酸化面 0.25 0.22 0.2 0.10 0.10
モネル 酸化面 0.7 0.7 0.70 0.45 0.70
ニクロム 非酸化面 0.30 0.28 0.20
ニクロム 酸化面 0.85 0.85 0.85 0.90 0.85
鉄 非酸化面 0.35 0.30 0.18 0.10
鉄 酸化面 0.85 0.85 0.85 0.85 0.80 ??
鉄 錆た面 0.6-0.9 0.5-0.7
鉄 溶融 0.35 0.4-0.6 ??
鋳鉄 酸化面 0.85 .6-0.95
鋳鉄 非酸化面 0.35 0.3 0.2
鋳鉄 溶融 0.35 0.3-0.4 0.2-0.3
 非酸化面 0.35 0.28 0.16 0.13
鉛 粗面 0.65 0.6 0.4
鉛 酸化面 0.65 0.65 0.65 0.63 0.65
マグネシウム 非酸化面 0.27 0.24 0.20 0.12 0.07
マグネシウム 酸化面 0.75 0.75 0.75 0.75
水銀 .05-0.15
モリブデン 非酸化面 0.33 0.25 0.07 0.10
モリブデン 酸化面 0.80 0.80 0.80 0.80 0.80
ニッケル 非酸化面 0.35 0.25 0.15 0.04
ニッケル 酸化面 0.85 0.85 0.85
ニッケル 電解 0.2-0.4 0.1-0.3
パラジウム 0.28 0.23 0.08 0.05
プラチナ(白金) 0.27 0.22 0.18 0.10 0.07
ロジウム 0.25 0.18 0.07 0.05
 非酸化面 0.01 0.01 0.01 0.01
銀 酸化面 0.05 0.04 0.04 0.03 0.02
すず 非酸化面 0.40 0.28 0.12 0.09 0.06
すず 酸化面 0.60 0.60 0.60 0.60
鋼  冷却ロール 0.8-0.9 0.8-0.9 0.7-0.9
鋼  研磨シート 0.35 0.25 0.1
鋼  溶融 0.35 0.25-0.4
鋼  酸化面 0.8-0.9 0.8-0.9 0.7-0.9
ステンレス 0.35 0.2-0.9 0.1-0.8
錫(非酸化面) 0.25 0.1-0.3
チタン  非酸化面 0.55 0.50 0.42 0.30 0.15
チタン  酸化面 0.80 0.80 0.60
タングステン 0.39 0.30 0.20 0.13 0.06
タングステン 研磨面 0.35-0.4 0.1-0.3
亜鉛  非酸化面 0.50 0.32 0.10 0.05 0.04
亜鉛  酸化面 0.60 0.55 0.11 0.30

 
 

     
     

 
   次に示すのは、さまざまな非金属物質についての、だいたいの放射率です。 (吸収率は放射率と同じ数値)

   非金属の加熱には一般的には遠赤外線ヒータが適しているといわれています。 遠赤ヒータの放射波長域
   は実質的には3〜5μmですから、下表の3〜5μmでの吸収率が0.4以上とかであれば良好な加熱ができま
   す。

   しかし波長1μmでの値がかなり大きい非金属材料も多々あり、これらはハロゲンランプでの加熱の方が効
   率的です。なぜならハロゲンランプの方が光(赤外線)エネルギーへの変換効率が高く、立ち上がりも極端
   に早いので総合熱効率が高くなる場合が多いためです。

   波長1μm又は1.6μmでの吸収率が 0.3以上であればハロゲンランプでの加熱の方が有利な場合が多いと
   判断します。   


  放射率表  - 非金属 -


     物質名
    波長に対する放射率 (=吸収率)
 約1
  μm
 約1.6
  μm
 約2.4
  μm
 3〜5
  μm
 8〜14
  μm
 ? 備考
アルミナ Al2O3 0.30 0.30 0.30 0.40 0.60
レンガ 赤 0.80 0.80 0.80 0.93 0.90
レンガ 白耐火 0.3 0.35 0.80
レンガ シリカ 0.55 0.60 0.80
レンガ シリマナイト 0.60 0.60 0.60
マグネサイト(炭酸マグネシウム鉱) 0.60
アスベスト 0.90 0.90 0.90 0.85
アスファルト 0.85 0.85 0.90 0.85
玄武岩 0.7 0.95
カーボン すす 0.95 0.95 0.95 0.95
カーボン グラファイト 0.85 0.85 0.85 0.85 0.80
ガラス 厚さ3mm     0.96/5μ  
炭化珪素 0.9 0.9
セラミック 0.4 0.5 0.85-0.95 0.95 0.90
粘度 0.85-0.95 0.95
コンクリート 0.65 0.70 0.9 0.90 0.90
(目の詰まった編み方のもの) 0.75 0.80 0.85 0.85 0.95
砂利 0.95 0.95
石膏 0.4-0.97 0.8-0.95
0.98
石灰石 0.4-0.98 0.98
0.95 0.95
プラスチック 不透明 0.95 0.95
ゴム 0.90 0.95
0.9 0.9
0.9
0.9-0.98
0.93
木(天然木) 0.9-0.95 0.9-0.95


 
  − 補足説明 −

※ 吸収率とは、その波長の光が垂直に照射した場合に、その光エネルギーの何%を熱エネルギーとして吸収
  できるか、という尺度。吸収されなかった光エネルギーは全て反射又は透過して外界に逃げる。

  エネルギーの総量は決して増減しないので(エネルギー保存則)、入射光が物体に当たって吸収されなかっ
  たエネルギーは全て反射,透過で外界に逃げることになる。

  このことから明らかなことは、反射,透過して外界に逃げるエネルギーを阻止してやれば結果的に吸収率が
  上がったのと同じ事になり、熱効率が上がる。空洞加熱法はこれを利用したもの。

  また反射鏡付きのランプヒータを近接させて使用する場合などは、加熱対象物で吸収されずに反射された光
  エネルギーも、反射鏡で再反射されて再び加熱対象物に照射される - - - という作用により、吸収率が上が
  ったのと同じような好ましい加熱効果がある。

  また同じ素材でも表面に凹凸があると、凹部に入り込んだ光はその内部で何度も反射しないと外部に出れな
  い。そしてその反射の都度、吸収されるために凹部に入り込んだ光はそこから脱出するまでに、そのエネルギ
  ーの大半が吸収されてしまう事が多い。このような理由で凹凸面だと吸収率が高くなる。 同様な理由で粉末
  や粉末をかるく固めた様な多孔質材料は吸収率が高い。

※ 金属は酸化させると表面に金属酸化物ができる。これは通常、金属構造ではなくセラミックの一種であり、比
  較的どの波長域でも吸収率が高い。したがって一般的に金属は酸化させておくと光加熱しやすい。



データ集へ