光加熱スポットヒータ HSH-60タイプ
ハロゲンランプの光を凹面鏡により集光し、加熱するヒータ
ほぼ瞬間的に光出力が立ち上がり、電圧コントロールで簡単に精密な出力制御が可能です。
光で加熱するので熱媒体が不要であり、完全クリーンな加熱が可能で低価格です。また真空中での加熱も可能です。
集光径:約φ6mm(短焦点ミラーと150wランプの組合せ)加熱温度:最高約1400℃(短焦点ミラーの場合)
このヒータは150wランプの場合、通常の開放的な雰囲気でならば連続点灯が可能ですが、閉鎖的な雰囲気での使用とか150wよりも大きなランプを使用する場合には後記する様な水冷ユニット(WCU-60)またはエアー冷却式又はファン冷却式にする必要があります。
HSHで耐火レンガを溶かしたもの。
HSH-60/36v-450w/水冷ユニット付
HSH品種 | HSH-60 |
ヒータ外径 OD | φ30mm |
ヒータ高さ Height | 75mm |
組合わせる標準ランプ (種類の標準品あり) |
12v-110w |
24v-150w | |
24v-300w | |
36v-450w | |
組合わせる標準ランプ (5種類の焦点距離あり) |
f=15 |
f=30 | |
f=60 | |
f=105 | |
f=∞ | |
質量(水冷ユニット無) | 約350g |
水冷ユニット質量 | 約40g |
確実に高温加熱を成功させるには、ヒータの選定とともにちょっとした工夫が必要です。「空洞加熱法」も検討してください。
各種ランプとミラー焦点距離の組合せ特性
電圧 | 電力 | 焦点距離 | 集光径 | パワー密度 | ランプ特性,その他 |
12v | 110w | f15 | φ3.0 | 170w/cm^2 | 最小スポット径が得られ、安価な5v~15v可変の一般電源が使用できる12v-110w±8%色温度3050K-寿命800h11v点灯では約2000h 通常は冷却不要 |
f30 | φ3.8 | 135w/cm^2 | |||
f60 | φ6.3 | 50w/cm^2 | |||
f105 | φ9.6 | 18w/cm^2 | |||
24v | 150w | f15 | φ4.2 | 150w/cm^2 | 標準的なランプ。安価な10v~30v可変の一般電源が使用できる24v-150w±8%色温度3150K-寿命500h22v点灯では約1400h 通常は冷却不要 |
f30 | φ5.2 | 115w/cm^2 | |||
f60 | φ9.3 | 42w/cm^2 | |||
f105 | φ14 | 15w/cm^2 | |||
300w | f15 | φ5.4 | 170w/cm^2 | 大出力品。安価な10v~30v可変の一般電源が使用できる24v-300w±8%色温度3050K-寿命800h22v点灯では約2000h通常は要強制冷却 | |
f30 | φ7.2 | 135w/cm^2 | |||
f60 | φ11 | 50w/cm^2 | |||
f105 | φ18 | 18w/cm^2 | |||
36v | 450w | f15 | φ6.6 | 180w/cm^2 | 最大出力品。特殊電圧36v-450w±8%色温度3250K-寿命150h32v点灯では約500h 通常は要強制冷却 |
f30 | φ8.0 | 140w/cm^2 | |||
f60 | φ14 | 52w/cm^2 | |||
f105 | φ21 | 19w/cm^2 |
集光径は中心より20%減光する範囲。パワー密度は中心での値。いずれも当社ミラー設計ソフトによる計算値
型名指定方法
HSH-60/f□/□v-□w/+オプション
オプション記号
/+WCU:水冷ユニット付
/+VAC:真空対応
/+QFG:石英前面ガラス付
HSH-60はミラー部に放熱フィンを設けていましたが、在庫が無くなり次第、順次これを廃止します。→放熱フィンがなくても150wランプならば十分に温度上昇は安全域にあります。また強制風冷しなければフィンの効果がほとんど確認できませんが、強制風冷は現実には適用が困難です。過熱に対しては水冷ユニット(WCU-60)も準備できたので、放熱フィンを廃止しました。
HSH-60以上のサイズのスポットヒータはランプベース(下図参照。ランプをプリフォーカスして固定しているアルミ部品)の中にマグネシア粉末を充填しています。これは主に放熱効果を期待してのものです。マグネシア粉末充填によりランプ封止部の温度が約20℃低下します。
代表特性例 HSH-60/f30/36v-450w
※リード長さはアルミ管部(RPL)を含みます。
照射距離と照射径
下の写真はHSH-60/f30/24v-150w(焦点距離30mmの機種)で、照射距離を変えて照射した状態です。
当然の事ながら、照射距離=焦点距離の時が最も小さく集光します。最も小さく集光したときの径は、図面上には約φ5 と記載していますが実際にはf=15mmの機種とf=30mmの機種ではf=30mmの方が20%ほど大きくなり、約φ6です。またランプによっても集光径は変化し、電力を小さくするほど集光径も一般的に小さくなります。(ほぼ電力の平方根に比例)→参考「光加熱の物理」
なにをもって「集光径」と呼ぶかなのですが、照明の分野では中心照度の半分になる範囲を照射範囲と呼ぶのが一般的です。
しかし光加熱の分野では「中心の半分のパワー密度になる所」というのはあまり意味がありません。そのため当社では「中心とほぼ同じ程度に加熱できる範囲」を「集光径」と呼んでいます。測定方法は光学的に測定するのはややむずかしいので、実用的な測定方法として紙に焦げ目をつけさせ、中心部とほぼ同程度に焦げる範囲を「照射径」としています。この方法は厳密さには欠けますが、実用的です。
参考のための熱電対による焦点部の温度分布の測定データです。生データですので、見にくいとは思います。温度は照度(放射エネルギー密度)のほぼ三乗根に比例ですので、分布の山がダレて広がっています。
下の写真で分かるように照射距離が焦点距離より近くても遠くても集光径は大きくなっていきます。この性質を利用すれば、比較的広い範囲を照射する事も可能です。ただ、さほど均一な照射にはなりません。厳密に均等な配光が求められる場合には単純な楕円ミラーではなく、配光を特別にコントロールしたミラーが必要です。しかしフィラメントの不均一さや焦点合わせの精度などから、完全に平坦な配光分布を得るというのは非常に困難な事です。→参考「光加熱の光学」
f=30の機種を15㎜の距離で照射
f=30の機種を30㎜の距離で照射
f=30の機種を45㎜の距離で照射
f=30の機種を60㎜の距離で照射
f=15の機種を15㎜の距離で照射
上写真の様に焦点距離15mmのものは焦点距離30mmのものに比べ少し収束がよく、より小さなスポットになります。
焦点距離60mmと105mmのものも準標準品として準備しておりますが、下表の用に、焦点距離が長くなるほど集光径は大きくなります。そのため、照射パワー密度は照射径の二乗にほぼ逆比例で弱くなります。
焦点距離 | 集光径 |
15mm | 約φ4 |
30mm | 約φ5 |
60mm | 約φ9 |
105mm | 約φ14 |
CAD図面 ダウンロード
作図組込用図面 | GO |
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HSH-60基本形共通外形図.dxf | |
HSH-60Air空冷式共通外形図.dxf | |
HSH-60FAN空冷式共通外形図.dxf | |
HSH-60水冷式共通外形図.dxf |
特注仕様 | GO |
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HSH-60/f60/12v-110w/+HD(フード付) | |
HSH-60/f15/24v-150w/+HD(フード付) | |
HSH-60/f/24v-150w/+WCU/Vac |
3D図面 step形式 | GO |
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HSH-60_01.zip | |
HSH-60_FAN_01.zip | |
HSH-60_WT_01.zip | |
HSH-60Air_01.zip |
3D図面 f3d形式 | GO |
---|---|
HSH-60_01.zip | |
HSH-60_FAN_01.zip | |
HSH-60_WT_01.zip | |
HSH-60Air_01.zip |
他のファイル型式が必要な場合はご相談ください。
asada@fintech.co.jp
HSH-60/f15orf30/24v-150w
フードを付けたHSH-60/f30
HSH-60用ランプの種類
適合ランプ | 色温度 | 寿命 | 備考 |
12v-110w | 3050 | 800 | * |
24v-150w | 3150 | 500 | * |
24v-300w | 3050 | 800 | * |
36v-450w | 3250 | 150 | * |
HSH-60用ランプの種類
型式 | LCL設計値 | 実際のLCL |
HSH-60/f15 | 19 | 19.5 |
HSH-60/f30 | 16 | 16.5 |
HSH-60/f60 | 19 | 19.5 |
HSH-60/f105 | 16 | 16.5 |
水冷ユニットWCU-60を装着したもの。
150wランプの場合にはほとんど必要ありませんが、過酷な条件で使われる場合には冷却が必要になります。また300wクラス以上のランプを使う場合には必須になります。空冷方式もあります(後記)
ハロゲンスポットヒーターの冷却について
ハロゲンスポットヒーターは状況によっては強制冷却が必要です。HSH-60の場合、150wまでであれば、連続点灯でも強制冷却は必要ありません。しかし300wや450wで連続点灯の場合は何らかの強制冷却が必要になります。
冷却方式は水冷とエアー冷却とファン冷却の3種類が選択できます。水冷の場合は通常仕様品にWCU-60型水冷ユニットを取り付けるだけで済みます。必要な冷却水量はランプ電力100wあたり50cc/min.です。300wランプの場合には約150cc/min.以上を流して下さい。
エアー冷却式とファン冷却式は下図の様になります。エアー冷却式は配管エアー等を流して冷却します。必要なエアー量はランプ100w当り15L/min.程度です。300wランプであれば45L/min.程度のエアーを流して下さい。ただしワークとの距離が近く、高温加熱するような場合はワークからの照り返しを受けるので冷却エアー量は多めにして下さい。基準はボディ温度150℃以下です。
ファン冷却式はHSH-60の場合、DCファンが付属します。このファンに所定の電圧を加えて使用して下さい。DCファンですので極性を間違えないようにして下さい。
配管エアー空冷式ハロゲンスポットヒーター
工場配管のエアー等(0.5~0.8MPa)を利用する空冷仕様品です。そのまま直に接続すると大量のエアーが流れてしまうので、途中に流量調節バルブを設けてください。接続チューブ径はφ6を標準にしていますがφ4でも距離が短ければ十分に流せます。
下図は450wランプでの冷却特性です。これよりこのランプをフル定格電圧で連続点灯する場合には60L/min.以上のエアーが必要です。ただし連続点灯でない場合や電圧をおとして使われる場合には、その平均電力に応じたエアー流量で済みます。 例えば平均電力が1/2ならば、必要エアー流量も1/2の30L/min.です。
ファン冷却式ハロゲンスポットヒーター 型名指定方法 HSH-60/f□/□v-□w/+AirTubeCooling
水冷ジャケット冷却式ハロゲンスポットヒータ
水冷ジャケット WCU-60をHSH-60のベース端面に取り付けて冷却します。
必要な水量は450wランプ連続点灯で250cc/min.程度です。接続チューブはφ4です。
冷却水はチラーを使って循環させる方法と、水道水を使い捨てにする方法があります。