資料 : エアーヒーター用電源,コントローラ   Fintech.co.jp




 
熱風加熱用の電源,コントローラについて   コントローラユニット(完成品)はこちら


 目次    1.  電源について
 2.  温度調節器について
 3.  温度センサーについて
 4.  制御盤(オーダーメイド)
 5.  熱風コントローラ(完成品)


  ※エアー源については右ページ参照 →


    ※熱風コントローラの詳細について →

 エアー源

 熱風コントローラ




                   

 1.電源について

 
  熱風加熱ヒータ(エアーヒータ)に使用できる電源やコントローラとしては下記の様なものがあります。

   単純に電圧調整するだけならばスライダックがお勧めです。重量は大きいですが、丈夫で少々のことでは
   壊れません。

   小型軽量で低コストが望まれる場合,及び各種の制御を行うにはSCR式の電圧調整器がお勧めです。
   

   電源の各種方式比較一覧表



   種類,商品名

  概要

  長所、短所

  備考
 

 ボルトスライダー
  (スライダック)
出力電圧を0〜120%程度の範囲
で可変できる鉄心型擦動トランス

丈夫で壊れにくい。電源電圧よりも高い
電圧まで出せる。電圧波形が変化しな
いので、電圧測定が容易。
大容量のものになると非常に重くコスト
高。また自動制御がしにくい
参考例 ヤマビシ製
S-260-5 ( 200v-5A)  約 \ 17,000
.
S-260-10 ( 200v-10A)  約 \ 31,000.
S-260-20 ( 200v-20A)  約 \ 80,000.

 SCRスライダー
 (バリタップ
SCR(半導体)式の位相制御型電
圧調整器。高速スイッチング(60Hz
では毎秒120回)により電力をコント
ロールする。

小型軽量、低コスト。
無理がきかず、短絡すると一瞬で破壊。
電圧波形が大きく変化するので、電圧
測定には要注意。状況によっては音の
発生もあり。また電磁ノイズも多く発生
するので要注意。
 参考例   東京理工舎製の場合
VR付、機器組込用。
   VP-10C(200v-10A) \10,700  
◎ VR外付け、機器組込用。
     VPJ-20C(200v-20A) \13,500     
◎ ケース入り完成品

   VPM-10C(200v-10A ) \15,300  

 SCR
 コントローラ
SCR式の位相制御型電圧調整器に
各種制御機能を持たせたもの。温調
器と組み合わせて使用



基本構造は上記SCRスライダーと同じ
なので、特徴も同じ。
各種の制御機能を持った機種があるの
で、用途に合わせて選択。
参考例 東京理工舎製
温調器と組み合わせて使用
  VSCD-20(200v-20A) \14,800
  
温調器付、ケース入りの完成品
  HT-152(200v-15A) \89,000.   

 SSR
 (半導体リレー) 
これ単独では機能しないが、温調器
のサイクル制御出力で毎秒2回以上
の速度でON−OFFさせればヒーター
の電力を可変できる。
SCR式以上に小型軽量、低コストで、
自動制御しやすい。SCR方式に比べ
ノイズが少ない。ただしヒータにとって
はSCR方式の方がベター。
SCR式と同様の欠点をもち、また単独
では使えず温調器との組み合わせで
のみ使用可。低速スイッチングなので、
熱風温度も多少の脈動があり、ヒータ
寿命もやや不利になる場合がある。
参考例 オムロン製
G3PB-225B-VD(200v-25A)  \ 4,500.
サイクル制御の周期は必ず0.5秒以下
とすること。


 
スライダックについて

スライダックという名称は(株)東芝様の商標ですが、同社では現在生産されていません。
しかしこの名称はほとんど一般名詞化しており、ここでもそのように使わせて頂きました。
ちなみにボルトスライダーは(株)YAMABISHI様,バリタップは(株)東京理工舎様の商
標です。


   各種方式の詳細

                               

ボルトスライダー (スライダック)

下図のような簡単な構成で使用する場合に適する。丈夫なので、条件出しの実験用などに適する。





     ボルトスライダーの例 
     ヤマビシ製 S-260-10
     入力 AC200v
   出力 0〜260v 10A
     実売価格 約¥31,000.
  




SCRスライダー(バリタップ)  

 
上記ボルトスライダー(スライダック)を半導体化しただけのもの。小型軽量で安価。ただし高度な制
御機能は持っておらず、ボリュームを回すことで電圧を可変できるだけである。なお、手動操作とはい
え、できれば下図の様に熱電対温度計で熱風温度のモニターをすることが望ましい。

より高度な機能を持ったSCRコントローラ(東京理工舎VSCDシリーズ等)の価格が下がっており、
ほとんど差がなくなっている(同社のVSCDシリーズの価格参照)。この程度の差ならばVSCDシ
リーズを使う方が良いように思う。VSCDシリーズでも外部ボリュームを付ければ手動で電圧を可変
できる。


  SCRスライダーの例(組込用)
  東京理工舎製バリタップ VP-10C
  入力 AC200v 出力 0〜196v 10A
   \10,700  

  東京理工舎製 ケース入り完成品
  バリタップコントローラ VPM-10C
  入力 AC200v  出力 0〜196v 10A
   \15,300.




SCR位相制御コントローラ  

上記SCRスライダーと同じSCR位相制御方式であるが、各種の制御機能が組み込まれており、高度
な使い方ができる。

例えば下図のように熱風ヒータとSCRコントローラと温調器を接続すると熱風温度を設定値に常に保
つようにコントロールをする。各種の保護回路を組み込む事も容易。

ただし熱風ヒータを安定して使うには高度な電気制御だけでは無意味であり、エアー流量の安定化も同
時に行う事が不可欠。ちなみに熱風ヒータのトラブル(短寿命等)の原因の第一は予期せぬエアー断によ
る過熱焼損である。エアーが完全に止まった場合には熱風ヒータの内蔵熱風温度センサーは何も検知し
なくなり、ヒータに高電圧が加わり続けて数十秒間で過熱断線する。

交流用の位相制御素子にはトライアック又はSCR(2個の逆並列接続)が使われるが、弊社の経験上、
トライアックはノイズに弱い傾向があるので、SCRを採用したコントローラを推奨する。


SCR位相制御コントローラ

東京理工舎製 VSCDシリーズ 

入力信号 4〜20mADC(200Ω)
定格電圧 100/110、200/220V共用
定格電流 20、30、50、75、100A
ソフトアップ 約0.2〜8秒可変






型式 VSCD-20 VSCD-30 VSCD-50 VSCD-75
定格電流 20A 30A   50A   75A
59 59    
奥行 135 135    
高さ 178 178    
質量 1.1kg 1.1kg    
価格 ¥14,800 ¥17,000 ¥37,800 ¥53,100
 ※ここの価格は東京理工舎の定価表にあるものです。

ケース入りの完成品タイプ ヒータコントローラ

このヒーターコントローラはヒーターの温度調節を
容易に行なえるように、温度調節器とヒータへの電
力調節器を内蔵したもので、電源、ヒータ、温度セ
ンサーへの外部接続とパネル設定で精密な温度調節
が出来る。

左図の内容(ヒータは除く)を1つのボックスにま
とめたものと言える。単品組み合わせの同等品より
も3倍程度の価格設定になっている。

項目 HT−152 HT−302
入力 定格電圧 200/220(V) 200/220(V)
出力 定格電流 15(A) 30(A)
入力 温度センサ 標準:Kタイプ(J,R,S,他)
外寸 幅(mm) 105 105
奥行(mm) 160 175
高さ(mm) 166 166
     価格  ¥89,000. \113,000.



SSR(半導体リレー)


SSRの高速動作、長寿命という特徴を活かして毎秒2回以上のON-OFFを繰り返し、そのON時間
とOFF時間の比率を変えることにより電力をコントロールできる。 また交流波形の電圧ゼロの瞬間で
ON-OFFさせることによりノイズの発生がほとんど無くなる。このようなコントロール機能を持った
温調器(例えばオムロンE5CN-QT)と組み合わせることでヒーターの電力制御が可能になる。 

前記したSCR位相制御方式よりも簡易な方法である。 毎秒2回程度の低速スイッチングなので、熱風
ヒータの熱風温度も多少は脈動する。熱風ヒータの寿命にも影響する場合があり、ヒータにとってはSC
R位相制御方式の方がベターであるが、多くの用途ではこのSSR方式でも使える。

しかし前記したSCR位相制御方式の電力コントローラの価格も下がってきており、あえてSSRを使う
意味も少なくなった。ただしSCR位相制御には温調器に電流出力型(E5CN-CT)を使う必要があり、ここ
での価格差も¥5,000.ほどあるので、トータルすれば差額は1.5万円適度にはなる。

なお、SSR方式のメリットとして前記したノイズの発生が少ない事に加え、位相制御方式の様な電流波
形歪みが発生しないので、電源側から見ると好都合である(無効電流が少なく送電ロスが減る)。





SSR  オムロン製 G3PBシリーズ





                   

 2.温度調節器について


  最も多用されていると思われるオムロン製E5CNタイプについて参考の
  ため掲載する。
  仕様と価格


  定格
  性能







                  

 
 3.温度センサーについて

熱風ヒータを使う上で加熱作業の再現性を求めるならば熱風温度のモニターは不可欠であり、また熱風温度を常に一定の値に保つようなコントロールをする場合にも熱風温度のセンサーが不可欠である。

熱風温度のセンサーは当社熱風ヒータに組み込む事ができる(オプション +S 仕様)。このセンサーは通常はK熱電対であり、熱風出口付近に配置されている。(高温でも長寿命のRタイプもある)

上記センサーでは熱風ヒーターの熱風出口温度を検知する事ができるが、場合によっては加熱対象物やその付近の温度を検知する必要が生じる場合もある。そのような場合には外付けの熱電対を加熱対象物に近接させて配置したりする事になる。→ 熱電対 を参照

このような熱電対は通常ならばK熱電対のできるだけ細いもの(例えば素線径φ0.2)を使用する。加熱温度が高温になるほど寿命を考慮すると熱電対は太いものを使用しなくてはならないが、その場合には応答速度が低下する。高温,高速応答用として当社ではR熱電対の素線径φ0.3を準備している。 

どうしても加熱対象物の温度を検知する必要があり、しかも熱電対を加熱対象物に貼り付けたり近接させたりすることができない場合は、放射温度計を使う事になる。


   熱風ヒータ(φ4)に組み込んだ
   K熱電対型温度センサー

   吹出す熱風の温度を検知する。

   関連情報 →熱電対



 使用目的


 温度センサーの種類


 使用方法


 備考

 熱風又は加熱対象
 物の温度を検出す
 るもので、温調器
 を使用する場合に
 は必須

 エアーヒータに内蔵の温度センサー
 (熱電対)


 温調器と組み合わせて熱風出口の温度をコント
 ロール又は温度表示器を付けて熱風温度をモニ
 ター
 ヒーターに内蔵(オプション)
 標準はKタイプ。Rもオプションで可能

 外付けの熱電対

 細い(φ0.2程度)K熱電対を加熱対象に近接又
 は貼付けて使用。高温の場合はR熱電対を採用
 ご希望のサイズ(太さ,長さ)で提供でき
 ます。

 Kタイプ約¥1,000/m Rタイプ約\15,000/m
 Rタイプは高価なので使用長さを最小限にし
 そこから計器までは安価な補償導線を使用。
 放射温度計  加熱対象物に熱電対を近接、又は貼付ができな
 い場合に採用。非接触で加熱対象物の温度が測
 定可能
 参考例 キーエンス製
 アンプ分離型放射温度計FTシリーズ
 センサーヘッド FT-H ¥44,900.
 アンプユニット FT-50 ¥29,900.

 









































 放射温度計の例


  温度調節目的で機器組込用に適した放射温度計型の温度センサーの例として参考のためキーエンス
  社のFTシリーズを下記に掲載する。

  非接触で「表面温度」が見える

    キーエンス製放射温度計
     FTシリーズセンサヘッド
「アンプ分離型FTシリーズ」の説明画像

        アンプ部










入出力回路図
FT-50,FT-55(NPN)
「アンプ分離型FTシリーズ」の説明画像


 センサヘッド

種類 小スポット 中距離 長距離
型式 FT-H10 FT-H20 FT-H30
検出温度範囲 0〜500℃
最小視野径 φ1.5mm φ6mm -
測定距離 35mm 120mm -
照準 可視光レーザ※による2点投光
検出素子 サーモパイル
検知波長 8〜14μm
放射率(ε)補正 0.10〜1.99(0.01ステップ)
質量 約120g
価格(¥) ¥44,900 ¥44,900 ¥39,900

可視光半導体レーザ波長655mm(FDA class 1/IEC class 1/JIS クラス1)


 アンプユニット


型式 NPN出力 FT-50(DINレール) ・FT-55(パネル取付)
PNP出力 FT-50P(DINレール) ・FT-55P(パネル取付)
電源電圧 DC12-24V リップル(P-P)10%以下
表示分解能 0.1℃または1℃
応差(ヒステリシス) 可変
応答性 HSP、30、100、200、500、1000、5000ms選択
(HSP:代表例10ms,最大15ms)
制御出力 NPN(PNP)オープンコレクタ×2ch,DC40V(30V)以下
アナログ出力 4〜20mA 最大負荷抵抗 260Ω アナログ出力
レンジの上下限値を任意に設定可能
価格(¥) ¥29,900










放射温度計を使ったコントロールの例


キーエンスFTシリーズのアナログ出力は4〜
20mAの出力しかなかったので、これを使った
温度調節回路を構成するにはこの4〜40mAを
K熱電対の特性に合わせるのが一番簡単と思わ
れる。(4mA→20mAが0→500℃に対応)

このようにFTシリーズ放射温度計の出力を熱
電対の特性に合わせれば、後は前記したような
コントロール回路で対応できる。

前記したコントロール方式は熱風温度が設定値
になるようにコントロールするが、この方法で
は加熱対象物が設定温度になるようにコントロ
ールするので、この方が好都合な用途も多いで
あろう。

このシステムは加熱対象物の温度を設定値に保
つように働くため、加熱対象物の温度が目標値
より大幅に低い間は熱風ヒータに100%の電圧
(電源電圧そのまま)が、かかり続けることに
なり、エアー量によってはヒーターが焼損する。

その場合には最高電圧を制限する(出力勾配調
整ボリュームにより最大電圧を制限する)か、
電源電圧がそのまま加わり続けても問題のない
設定で使用する。(最低流量以上のエアーを常
に流しておく)


                     

 4.オーダーメイドの制御盤


熱風加熱ヒータを単独で使用するだけならば上表の各種電源,コントローラの中から適当なものを選択し、使用すれば良いのですが、当社のヒータを自動機械に組込む様な場合には自動機械との動作のリンク、安全装置その他の対策が必要であり、その機械に細かく対応した専用の制御盤が必ず必要になります。

そこで弊社では弊社ヒータに最も適した構成の電源,コントローラを選択し、それらを組込んだ制御回路を持つ制御盤をオーダーメイドで製作しております。

下記はご商談開始から設計、製作、納入までのおおまかなタイムスケジュールです。

   0  2  4  6  8  10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 日数
 @仕様の確認,検討 ■■  
 A概算御見積   ■■ 
 B仮ご発注     ■■ 
 C詳細設計→ご承認       ■■■■         
 D最終御見積           ■■     
 E正式ご注文             ■■     
 F製作               ■■■■■■■■■■■■■■■■    
 G検査,納入                               ■■■■    



以下は標準的な制御盤の構成です。これを基に追加で必要な機能を加え、また不要な機能は削除して制御盤の構成を決定します。制御盤製作のコストはこれらの条件や熱風ヒータの容量,流すエアー流量等により決まります。また遠方の場合は出張立会検収が必要かどうかによっても御見積は変わってきます。


 制御盤(電気制御部)
 
  項目   内容   備考


 制御の概要 2つの運転状態@,Aを持たせており、それぞれの時間をタイマーで設定できる。それぞれに温度調節器をもち、エアー量も個別に調整できる。運転がOFFになっても冷却のためにエアーを一定時間流す。エアー,発熱体温度の監視をし、異常時には通電を止める。外部コントロール可 制御盤はエアー制御部を内蔵しない。電磁バルブ,流量計、流量調整バルブ,フロースイッチ等からなるエアー制御部は別途設ける。
 制御部 基本的にはリレーシーケンス。ただし制御用リレー数が多くなるような場合はシーケンサ(三菱)を使用。



 安全装置 漏電ブレーカ,FUSE,エアー用フローSw,発熱体温度監視,非常停止Sw,その他 熱風ヒータには2センサータイプ(/+2S)を使用する。
 運転操作スイッチ,ツマミ 主電源Sw,運転@Sw,温調器@,タイマー@,運転ASw,温調器A,タイマーA,停止,タイマーOFF,外部コントロールSw

 運転状態表示 電源,運転@,運転A,電圧計,電流計(アナログメータ),温調器@,温調器A 



 異常表示
エアー量,発熱体過熱,その他



 エアー源の制御 共通のエアー配管利用ではなく、専用のポンプを備える場合には、これの制御回路も含める。 電磁ポンプやロータリーブロア,コンプレッサ等。







 エアー制御部
  項目   内容   備考


 構成の概要 フロースイッチの後に電磁弁−流量計の回路が2系統並列に接続。





 フロースイッチ リードスイッチなどでエアーの流れを検知する構造。





 流量計 通常はアクリル製のフロート式を採用。デジタル式も採用可。 デジタル式はやや高価。フロート式は読取精度は低いが測定原理が直接的


 流量調整バルブ これは特別には設けず、流量計に付属しているものを利用する。





 圧力計 通常はエアー入口側の圧力を測定。エアー出口側の圧力測定も可。 エアー源の種類により測定圧力範囲を決定。


 マウント 圧力計,流量計と流量調整バルブは制御ボックスにパネルマウント。それ以外は制御ボックス内に内蔵。





 配管 特別なご指定がない限りウレタンチューブで接続。





 エアーポンプ ごく小容量のポンプを除き、通常はボックス内にポンプは内蔵させない。別途設置する。 電磁ポンプやロータリーブロア,コンプレッサ等。






 





 



                      





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