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特許申請中 HP情報公開2012年11月10日
液体加熱装置の研究
大容量ながら低コストで超小型な超純水加熱,薬液加熱用ヒーター装置について
定格の範囲 85℃MAX. 50kw〜250kw 耐水圧約0.5MPa
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目的 |
ハロゲンランプを使用し、超純水や各種薬液等の液体を常温から85℃以上にまで加熱します。更に耐薬品性が高く、不純物の混入が極限まで少ない装置を安価に提供することにあります。
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特長 |
液体の通る石英管をハロゲンランプ光による外部加熱方式で加熱する瞬間湯沸器タイプです。安全な外熱方式にもかかわらず、石英管製の水路列でヒーターランプを挟み込む方式により熱効率はほぼ100%です。
ハロゲンランプヒーターは電源ONから数秒で光放射がほぼ100%まで立ち上がるので、必要なときのみ稼働させることができ、温度コントロールも精密に行えます。流量変化に対する温度追従性も現在考えられる方式の中では最速です。
完璧にクリーンな加熱ができます。超純水加熱にも余裕で対応可能です。また接液部が石英ガラスのみで構成されるため、耐薬品性も極めて優秀です。
ボイラーの様な容器構造を持たないので、どのような想定されるトラブルに対しても水蒸気爆発等の危険がありません。加熱部内部も配管サイズの石英管のみで構成されるため、貯水量が少なく、液溜まりも無く、洗浄が容易で洗浄液も少量ですみます。
水を加熱する石英管水路は何度も流れ方向が反転する構造のため、石英水路内の水の流れは激しい乱流となり、温度の均一化と良好な熱交換性が達成されます。
ハロゲンランプの光は水路の石英管に吸収される事なく、それを透過して水に浸透し、そこで熱に変わります。 ハロゲンランプ自身の早い応答性と共に、この水を直接浸透加熱することができるという特徴が、極めて早い温度応答性の理由です。
この「ハロゲンランプの光は水に浸透して水を3次元的に直接加熱する」という特徴は、非常に高い熱交換密度を得られる理由でもあります。カーボンヒータの様な長波長成分の多い光は石英管に吸収される率が高く、それは石英管を加熱して間接的に水を界面加熱します。石英を透過する光成分もありますが、水には深く浸透しにくく、そのため水は2次元的な界面加熱に近くなります。従って部分沸騰しやすく、可能な熱交換密度は低くなります。
そのため、この純水加熱装置のヒーターにハロゲンランプを使うことで、ニクロムヒータはもちろんカーボンヒータ等よりも格段に応答性が早く、また高い熱交換密度が得られます。
従来の純水や薬液加熱装置は2重の石英管の間に超純水や薬液を流し、中心に配置したハロゲンランプで加熱するというものでした。しかしこの構造は石英部品の加工コストが高く、また電気容量の割にはサイズが大きくなります。サイズの大きな石英管,容器はコストも高く、大きな容積の容器は壊れやすく爆発の危険すらあります。また思ったような純度の材料入手も困難です。
この様な問題を解決するために標準的なサイズの石英管が使え、水の淀みも全くなく、局部沸騰もほとんどありえない構造として提案するのが下図の方式です。耐圧力は0.5MPa以上にも対応できます。 |
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50kw 超純水,薬液加熱装置
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下図は上図の構造を更に進化させたものです。石英管のU曲げは肉厚管理等で加工が難しいので、45°にカットしたものを溶接する方法を採用しています。
石英管列を重ね合わせることにより、石英管を両面から加熱が可能となり、更に大容量,コンパクトとなっています。
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150kw 超純水,薬液加熱装置 |
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150kwユニットにおける圧力損失(概算)
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流量(純水) |
10L/min. |
30L/min. |
50L/min. |
屈曲部の圧力損失(1ヶ所あたり) |
0.06kPa |
0.5kPa |
2.0kPa |
直線部の圧力損失(1mあたり) |
0.06kPa/m |
0.6kPa/m |
1.5kPa/m |
150kwヒータ全体(2系統並列接続) |
0.5kPa |
7kPa |
13kPa(0.013MPa) |
150kwヒータ全体(全直列接続) |
4kPa |
60kPa |
110kPa(0.12MPa) |
下図は本装置に使用するハロゲンランプヒータです。
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下図は片側リードタイプのハロゲンランプヒーターです。メンテナンス上の理由で片側リードが要求
される場合にはこの様なランプヒーターを採用します。
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以下は石英管の組成です。各メーカーで色々なグレードのものがあります。最も高純度なものは合成石英で
すが、価格が非常に高くなります。通常の超純水加熱であれば、例えばPh社の石英であればPH300で十分
です。
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信越石英社 各種石英ガラス製品の不純物含有量データ
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フィリップス社 各種石英材料の不純物含有量データ
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GE社石英の後継製品 不純物含有量データ 代表品種は214
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中国 太平洋石英製品社 石英分析データ
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ヒーターの制御について
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ハロゲンランプは発熱体がW(タングステン)という純金属のため、抵抗温度係数が大きな正の値を持っています。そのためハロゲンランプは常温での抵抗値が非常に小さく、通電開始の約0.1秒間には大きな突入電流(約5倍)が流れます。
この突入電流はハロゲンランプの寿命を縮める作用があります。また電源電圧を変動させる作用もあります。これを防ぐには位相制御によるコントロールにして、電圧をスローアップさせる方法が一般的に採用されています。
ただし世間で一般的に使われているハロゲンランプは、その圧倒的大多数がそのような対策をせずに使われています。つまりスローアップは必ずしも必須とは言えません。突入電流はごく短時間なので、それでブレーカが働くという事もなく、よほど頻繁なON-OFFでない限り、寿命短縮効果も容認されるためです。
SSR(半導体リレー)を使ってランプに電圧を加えた場合、突入電流が問題になるのは装置の立ち上げの瞬間のみです。その後の温度調節はSSRのサイクル制御(サイクルタイム0.3S〜0.5S)で問題なく制御可能です。従って装置の立ち上げが一日数回以内であればSSR制御でも寿命短縮効果は無視できます。
このようにSSR制御として、装置立ち上げ時の突入電流を無視する事も一つの方法です。次善の策として、電源投入後の数秒間はコントローラの出力を出来るだけ低く保ち、ランプの温度上昇を待つ方法があります。これはコントローラの勾配設定で可能です。SSRですから突入電流の絶対値は減りませんが、平均電流は大幅に制限されるのでランプや電源の負担は大幅に軽減します。
SSR方式でも十分に突入電流絶対値を抑える必要が有れば、最初の数秒間、回路に直列抵抗を挿入する事が考えられます。この直列抵抗は短時間動作のため連続定格である必要はなく、そのため小さいサイズで済み発熱量も無視できます。電源投入の数秒後にはこの直列抵抗をリレーで短絡させ、SSRによるサイクル制御に入ります。
以下はSSR制御ではなく、理想的な位相制御による制御の例です。ほとんどのSCR式位相制御コントローラには標準で電圧のスローアップ機能が内蔵されています。 |
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